源ちゃんファーム 源嶋 たまみ

熊本県の温暖な気候を活かし、50aほどのハウスでメロンやキュウリなどの施設園芸に取り組むほか、水稲や大豆の作付け、農産物加工なども手掛け、さらに農家民宿の経営やパソコン農業簿記研修会の開催など幅広い活動を精力的に行っている。

農産物:メロン、キュウリなどの野菜、水稲、大豆など

加工品:漬物、味噌、お菓子

収益の出せる作物に絞って「絶対に潰れない経営」が実現できました

掲載日:2015/12/18

経営のこだわり

源嶋さんの経営のこだわりを教えてください。
源嶋さん:「土づくり」ですね。堆肥を使った土づくりを行い、pHを測って細かい調整もしています。また、ハウスで野菜を作る場合は、播種や定植の直前まで水張りをすることで、線虫類などの悪い菌を退治しています。そうすることで農薬の量も少なくて済むんですよ。特に、春のメロンは農薬をほとんど使わずに出荷していますね。

img01

「土づくり」にこだわっていらっしゃるのですね。美味しく育った野菜はどちらに出荷されていますか?
源嶋さん:近くの直売所とA-COOPに卸しています。直売所には漬物や味噌、お菓子などの加工品も出荷しています。栽培した野菜の6〜7割はそのまま出荷し、残りは加工品にすることで、収穫量のほとんどを何らかの形で市場に出し、無駄のないように工夫しています。

農業簿記ソフトの活用

源嶋さんは実に20年前から農業簿記ソフトをお使いですね。どのように活用されていますか?
源嶋さん:申告書の作成はもちろんですが、長年やっているとデータが蓄積してきますので、「損益分岐点分析」「部門別経営分析」「連続5期経営分析」などの分析機能を特に重宝しています。損益分岐点は目標を立てる際のよい指針となりますし、部門別の分析では作物ごとの損益が分かり大変参考になっています。

img02

実際に分析の結果から経営判断を変えたことはありますか?
源嶋さん:はい。例えば、作物ごとに損益を分析した結果、「麦は補助金が無いと赤字」いうことが分かったので、数年前に栽培を止めました。このように収益の出せる作物に絞ってきたおかげで、今では「絶対に潰れない経営」にすることができました。こういった分析は手書きの帳簿では手間がかかってとてもできませんので、ソリマチのソフトには大変助かっています。

農業簿記の研修会について

源嶋さんはご自身でソフトを活用されるだけでなく、地域の方のために研修会も開かれているそうですね。どのような研修会ですか?
源嶋さん:この部屋に集まってもらってそれぞれ入力作業を進め、分からない所を教え合うような研修会です。
参加者は、同じように施設園芸に取り組んでいる方がほとんどですね。はじめた当時は人数も多かったのですが、卒業された方も沢山いらっしゃり、今では7名になりました。長年続けているので皆さん基本的な使い方はマスターしていますが、「一人では億劫なことでも、集まってやると頑張れる」ということで来てくださっています。

img03

地域に相談できる場があるのは心強いでしょうね。情報交換の場にもなるのではないでしょうか。
源嶋さん:はい。互いの経営状況を知ってまだまだ頑張れるなと刺激を受けることができたり、新しい補助金が始まったことなどの情報交換ができたりと、良い集まりになっているなと感じます。
ここで頑張る方は徐々に経営も改善してきて、今では皆さん非常に良い経営状態になっていますね。

今後の経営展開

この先源嶋さんが目指す農業の形を教えて下さい。
源嶋さん:今後は、地域の農業の担い手を増やす取り組みをしたいです。具体的には農業に関心ある方をうちで雇って2年ほどかけて農業を学んでもらい、その後はこの地域で独立できるようにサポートをしたいと考えています。
というのも、町の農業委員をしていたこともあり、地域の農業の現状に強い危機感を持っていまして…。地域の後継者がわずかで、あと5年で限界と感じています。それまでにこの地域に移住してくれる方ができたらなと思います。

img04

なるほど、素晴らしい取り組みですね!では、新しく農業を始める方へ向けてメッセージなどがあればぜひお聞かせください。
源嶋さん:農業を始めるにあたって、自分の経営状態、今の経営力を知ることはものすごく大切です。帳簿を付けるのは、1年目はめんどくさいと感じることもあるかもしませんが、それはそれで勉強だと思って1年頑張れば、2年目以降はラクができます。経営状態が数字で見えていると、周囲に助言をもらうこともできますから、是非頑張ってみてください。
ありがとうございます。最後に一つだけ!源嶋さんの「座右の銘」を教えてください。
源嶋さん:「初心忘るべからず」ですね。迷った時は原点に返るようにしています。例えば、私は町の議員を務めているのですが、「町の農業を良くしたい」という気持ちで議員になりました。ですから、議員活動の中で迷うことがあった際には、「農家代表として行動できているか」と初心に帰って考えるようにしています。

源嶋さん、ありがとうございました。本業の農業がお忙しい中でも、様々な取り組みをなさっている源嶋さんに私まで元気をいただきました!

多良木町役場│えびす物産館
源嶋さんの美味しい野菜や加工品はこちらの直売所で購入できます。近くを訪れた際は、皆さま是非お立ち寄りください。
トップへ戻る